薬剤師1〜2年目にかけて、わたしは本当に仕事ができなくて。覚えが悪くて、たくさんの失敗をしてきました。同じミスを繰り返すこともありました。
そのたびに落ち込んで、「薬剤師向いてないな…」と思っていました。
薬剤師として10年以上働いた今は、「最初ミスが多いのは当たり前」と心の底から思います。しかし当時は目の前のことに必死で、そんな心の余裕はありませんでした。

新卒薬剤師ミスが多い原因① 知識不足
薬剤師歴が短いからこそ起こるミスの原因は、知識不足です。
- 規格違いが存在することを知らない
- 剤形違いが存在することを知らない
- 適応の特例を知らない
など。
規格違いや剤形違いを把握しておくことはとても大切です。
ひとつの規格しかないと思い込んでいると、ピッキングの際、目につきやすい調剤棚に置いてあるものを「正解」として選びがちです。しかし、実際には棚の中に在庫がある場合もあります。
また、「自分の働いている薬局に置いてある薬がすべて」ではありません。
自分の薬局に在庫がなくても、自分自身がまだ現物を見たことなくても、世の中には存在しているかもしれません。
規格違いや剤形違いを学ぶことは、思い込みによるミスを減らせます。
知識不足は、業務や勉強を続けていくことで補えます。
新卒薬剤師ミスが多い原因② 経験不足
薬剤師歴が短いからこそ起こるミスの原因、もうひとつは経験不足です。
- 薬Aと薬Bは、薬の名前がよく似ているからピッキングミスが起こりやすい
- 薬Cと薬Dは、薬の見た目がよく似ているからピッキングミスが起こりやすい
- 薬Eは10錠シート(PTP)ではなく14錠シートだから、鑑査のとき要注意だ
など。よくあるミスのパターンを把握しておくことが、対策になります。
経験不足は、業務を続けていくことで補えます。
「どうすれば再発防止になるか」
「自分だったらどうするか」
など考えるようにしていました。
新卒薬剤師ミスが多い原因③ プレッシャー
働き始めてすぐは、先輩薬剤師がそばについてくれることが多いです。
どんなに優しい先輩でも「見られている緊張感」ってありますよね。ましてや、ちょっと厳しい上司だと、その緊張感はより高まるでしょう。
服薬指導も、すぐ横に他の薬剤師がいると、
- 間違ったことを言っていたらどうしよう
- 自分の服薬指導どう思われてるかな
など、余計なことが気になってしまうものです。
忙しい職場だと、「早くしなきゃ」という思いがプレッシャーになります。
プレッシャーへの対策としては、業務への慣れが一番です。
新卒薬剤師ミスが多い原因④ 疲れ
これは薬剤師に限った話ではないですが。
社会人になってすぐは、新しい生活リズムに慣れるのが大変です。
新しい人間関係、新しい環境の中、緊張することも多いでしょう。
学ぶべきこともたくさんあります。帰宅後も、採用薬を調べたり、本を読んだり、心休まる時間が足りないかもしれません。
業務のための勉強も必要ですが、休む時にしっかり休むことも大切です。
疲れていると、ミスが増えます。
特に、食事・睡眠は健康維持の基本です。
栄養不足や寝不足が続くと、職場でのミスが増えたり、マイナス思考に陥ったりと、いいことはありません。悪循環です。
仕事のあとや休日は、趣味に没頭したり、リラックスしたりと、自分自身をいたわってあげましょう。
新卒薬剤師ミスが多い原因⑤ 気持ちの切り替えが苦手
と、いつまでも引きずっていませんか?
休憩時間や退勤後に反省タイムを設けるのは悪いことではありません。
しかし、勤務中に、あまりアレコレ考えすぎるのは良くありません。クヨクヨ悩むのも良くありません。
緊急の対応が必要なものでないなら、一度気持ちを切り替えて、次の業務に集中するべきです。他のことを考えていると、また別のミスを引き起こしかねないからです。
とはいえ「ミスをまったく気にしない」のはダメです。
今後に活かせるよう、時間に余裕のあるときに
- ミスが起こった原因
- 再発防止の対策
を、自分なりにしっかり考えることが大切です。
同じミスを頻繁に繰り返す場合は、作業の進め方に改善点があるかもしれません。同僚や先輩薬剤師に相談するといいでしょう。
職場で他の人のやり方を見るのも、勉強になります。ミスを減らすために、自分なりにいろいろ工夫している薬剤師は多いです。
新卒薬剤師ミスが多い原因⑥ コミュニケーション不足
入社したばかりの薬剤師は、まだ職場での人間関係がしっかり築けていません。
たとえ疑問に思うことがあっても、「(忙しそうだし)まあいいか」と誰にも聞かずに自己完結する傾向にあります。「きっとこうだろう」と勝手に判断してしまうこともあります。
自己判断が原因で、医療過誤が起こることもあります。周りの人に相談していれば、より適切な指示をもらえたかもしれません。
未然に防げるミスもたくさんあります。
ミスを減らすために、職場のコミュニケーションは不可欠です。これは新卒薬剤師に限らず、すべての薬剤師に対して言えることです。
- 薬Aの在庫場所を変更した
- 薬Bのシート(PTP)のデザインが、次の箱から変更になる
- ◯◯さん、今日から定期薬が変わるはず
など。
朝礼や昼礼など口頭で共有したり、薬歴で申し送りしたりします。